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「和文様」の開花&回転をアニメ表現
本日の作品は桜吹雪をテーマにした「ショートアニメーション」です。自らBGMの作曲も手掛けたオリジナル動画となりました。といっても、ごく短いループ動画ですので、下記 Instagram画面より、お気軽に再生してみてください。
「桜の花びらが散る」アニメであれば、世の中に無数に存在しますが、桜の和文様がメインのアニメはかなり珍しいのではないかと思います。
イメージとしては、文具コーナーで見かける和文様の花がデザインされた「ポストカード」や「手紙・便箋」用紙をアニメ化することを目指しました。
これらの商品では「梅の花」文様が多く用いられます。梅との差別化をはかりつつ「和文様っぽさから離れない」桜のデザインを心掛けました。
当初は桜の花が軽く回転する感じを想定していましたが、地味でした。
よって、一部の花には開閉する動きも導入してみました。

これにより、記号のような和文様というモチーフに「生き生きとした命」を宿らせることができた気がします。
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「桜文様」を複数パターンデザイン

ソメイヨシノ&八重桜をイメージした「桜」和文様
この作品に描かれているのは一本の樹ですが、複数の桜のデザインパターンが集合して「同じ樹から生えた枝」に咲いています。
同じ枝から「ソメイヨシノと八重桜が混在して咲いている」ような非現実的な状態ですが、これは逆に「作品としてのリアリティを出す」ための手法なのです。
「同一デザインの文様を1つのみ」をコピペした方が一見リアルです。しかしながら「変化のない素材がただ並んでいるだけ」のメリハリに欠ける画面となりました。つまり、「桜の樹」には感じられないというわけです。
結果、異なる形状の花を織り交ぜ、あえてゴチャゴチャ感を出すことで収拾をつけました。

そもそも和文様自体が記号のようなものであり、それが咲いているという絵柄事態が不自然な状況なので、自然な絵にみせるためには多くの作為性が必要なのだと思いました。例えるなら、ビールのCMでビールの入ったジョッキの表面に、存在しない水滴をスポイトで付着させる演出とも似ています。
「花びら」はリアル寄りのデザイン

ヒラヒラ感を表現するための本物っぽい花びら
空中を移動する花びらに関しては「本物の花びらに近いデザイン」になっています。当初は和文様と同じタッチの花びらのパーツを飛ばしてみたのですが、これまた不自然でした。
つまり、和文様の花びら部分を切り離し、花びら単体にすると花びららしくないのです。花びら特有の薄さや、風で変化する形状が出しにくいところが難点でした。
まさに花文様のプリントされたシートが飛んでいるように奇妙でしたので、現実的な花びらデザインへと大幅に修正しました。
花ごと散る「桜文様」も登場

本作では、舞い散る花びらとともに、桜の文様自体もいくつか飛んでいます。
現実の桜も、花ごと散ることがあるのをご存じでしょうか?通常は「花びらが舞い散る」状態を桜吹雪と呼びますが、花の部分が丸ごと飛ぶ場合もあるのです。
ウェザーニュースによるとスズメが花ごと千切って蜜を吸った後、地面に花を捨てるからなのだそうです。
意外とこの桜が花ごと散る現象を知らない人も多いようです。

私は過去に渋谷のホテル内で壁画を描く仕事に従事したことがあります。その部屋のテーマが「桜吹雪」で、壁全体に桜の花びらが無数に飛んでいる絵を描くミッションでした。
計画を元に、バンクシーのように型紙を壁に当ててスピーディにピンクのスプレーで塗っていくステンシルアートというスタイルです。
その際、ふと私は、桜が花ごと飛んでいるパターンも織り交ぜることを思いつきました。しかしその時の現場監督から却下されました。「桜の花が飛ぶわけない」からとのことでした。
長い年月ののち、私は自分のオリジナル作品において桜を花ごと飛ばすことを実現したのです。